2000年少し前の TBS で制作された「ケイゾク」をご存じだろうか。
もちろん当時生きていたミステリーファンは知っている人が多いだろう。
引用:https://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d2828/「ケイゾク」 |
TBS はファミリードラマを作らせたら右に出るものはいないと思うが、ミステリーについては初期の相棒を作っていたころのテレ朝には勝てないし、「ケイゾク」の精神的?続篇となる「SPEC」も同様に、何となく風変りなミステリーの傾向がある。
しかし、初期の「ケイゾク」は、「SPEC」のような超能力を含めた上でのミステリーではなく、現実に則した謎解きをする本格推理だ。
独特な雰囲気はあるとしても、少なくとも筆者はそう思う。
誤解を招かないためにいえば、「SPEC」のように超能力を限定的に認めた世界での謎解き、たとえば私が好きな作品「麦酒の家の冒険」の著者である西澤保彦氏の「神麻嗣子」シリーズという、扱いが難しそうだけれども昔見たときは画期的な新しいミステリージャンルだと思った、特異な能力を限定的に認めた世界でのミステリーも事例は少ないが好きだ。
いきなり7話目の感想で申し訳ない。
誤解を招かないように念のため、今回のミステリーは超能力を含まない本格推理のミステリーだ。
その前の作品もすべて、同じように、キャラクターのコミカルさと、不気味な謎を痛快に解決する謎解きが魅力的な作品だ。
ここからはネタバレがあるかもしれない。
今回のは、金田一少年のラベンダーの事件に似たトリックが使われる。どちらが先かは確認していない。
正直、似ていても、物語の展開や雰囲気を変えれば別の良さがあって読者としては楽しめてよいと思うし、発表の順でオマージュをしたのがどっちかはわかるので似たトリックを否定する気はないし、たまたま似たメロディが曲の一部にできることもあるのだし、寛容にすればいいのにと思うが、トリック命の人にとってはデリケートな問題なのでその部分は触れないでおこう。
まー、そのトリックの一番危険なシーンである現場での運搬について「スキをついて」のほんの一言でごまかしたのは少し納得はいかなかった。それ以外についてはひっかかりなくすとんと落ちる。
今の相棒よりも断然こちらのほうがミステリードラマと名乗るにふさわしい出来だ。昔の相棒ならば対等かそれ以上のできなので、相棒にも早くミステリー路線に戻ってほしいと期待しているが15年以上ほぼがっかりな回が続く。
しかし、今回特筆すべきは、その部分のトリックではない。
サブタイトルの通り、今回のミステリーの中心になるものが油絵なのだが、不気味な油絵というだけではなく、その絵の内容が若干変わることがあり、変わった絵を見たものは死ぬという言い伝えがあるのだ。
もう、この設定だけでワクワク出来る人には、見る価値があるといっていい。
※今なら「ケイゾク」はアマゾンプライムビデオで見ることが出来ます。
その言い伝え通りに、絵が変わり、それを見たものが死ぬという流れなのだが、シンプルな時間差トリックと、叙述トリックにも似たような思い返せば確かにそうだと思わせる、思い込みや心理の裏をついた、とてもシンプルなのに気づけない、そんな素敵なトリックがこのミステリードラマにはうまく溶け込んでいるのだ。
しかも、その呪われた絵の言い伝えの原因についてもわかりやすい解説が後からあるのも良い。
間山さんと柴田のコンビを中心として主人公たちのキャラクターもみな個性的で演技も見やすく面白い。
今のミステリードラマに満足できない&「ケイゾク」を見ていない人は、一度視聴してほしいと思う。
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