この気持ちが消えないうちに 手短に書く
はっきり言って、最後までの40分間は退屈で湿っぽいだけのものだった。
ミステリーとしては赤点もいいところだ。凶器はすぐにわかるものだし、そのあとの展開も予想外と言えるものではなかった。
謎の交際相手も子供たちが見たシーンで一瞬でわかる。
また、杜撰さも多い。
ここからはネタバレがあるかもしれない。
誰でも思うのが、なぜその場所にラブレターが隠されていたのかすぐに当たりの場所を探るところだ。
2人が別のタイミングでどちらもそこだけを暴いている。
これは文章で書いたときには気にならなかったかもしれないが、ビジュアルでみるととても不自然だ。
そして、なぜ亀山夫人への封筒だけを残し、中身だけを器用にとっていったのか。しっかりと相手が握りしめていたにしても引きちぎるくらいはしてもよさそうだと思う。
心情的には、ずっと献身的に支えてくれていた女性との絆をもう少し描いてほしかった。もちろん、とっておきを隠すためということはあるだろうが、いろいろとザルなのだから、ドラマチックな部分だけでもきちんと押さえてほしかった。
しかし、湿っぽい話は私は嫌いなので、この程度で十分しめっぽくて、ちょうどよい抜き加減だったのかもしれない。
ここからは最後5分の感動を話す。
むしろ、最後5~10分程度までは、倍速で見ても構わないほど、薄く、杜撰だ。
しかし、最後の心理を読み解く部分はすばらしかった。
その隠されたラブレターが夕日に黄金色に照らされているのが今も思いだされる。
正直、そんな展開だとは予想していなかった。
今回の被害者のストーリーはだいたいそうだろうなとわかる退屈な40分だったが、最後の犯人との対話はそれまでの杜撰さが嘘のように優しくも悲しく胸にしみいるものだった。
ネタバレを避けるためにぼかしてかくが、結局は理解されずらい関係の純愛だったのだ。
損得ではなく。しかし、生活には金が必要で、そのギャップに押しつぶされた二人の悲劇、そしてそれを美しいままにしたいと望むものの話だったのだ。
主役の画家が油絵を描くために何度も同じ場所に様々な色を塗りつぶしていくこともリンクしている。
そして、そのまま消え去ろうとしていた者、助けになろうとしつつも望まない方へと導こうとしたもの、そして、静かにそれを見守る愛するもの。
私はこういった心理のミステリーは悲しくなったりして疲れるから好きではないが、それでも寒い季節の暖かい輝く夕日がその恋文を照らしている情景が脚色多めで今も思いだせる。
以前にも相棒はもうミステリーはできない、刑事ドラマとしてやっていくのなら面白いかもしれないとかいた。
今回は刑事ドラマというよりも人情ドラマという側面が強い。
テレ朝はミステリードラマの老舗というイメージだが、この20余年の相棒の変遷を見るとここ10年ほどで、ミステリードラマの能力は皆無になり、そのかわり昭和の人情刑事や熱血刑事のドラマでやっていこうとしているようにも思える。
それは否定しないが、鮮やかなミステリーが売りだった相棒でやる必要があるのだろうか。
もちろん、ブランドとしての価値はあると思うが、謎解きもできない右京さんをみんなでかついでいる姿をみるのは初期からのファンとしては見るに堪えない。
ただ、夕日はとてもきれいにあの白い紙を黄金色にそめていて、受取人の感情もとても人間味があって私はその数分間だけはすごい良いもので酔わせてもらったと思った。
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