「ある閉ざされた雪の山荘で」
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0CVW6LPZX
このタイトルを昔楽しんだ読者も多いと思う。
もちろん、30年近く前のものだから私も記憶はあまり残っていないのだが、それでも良くない印象は残っていない。
某トラベルミステリー作家が「私でも本格推理なんてやる気になれば書ける」と巻末で豪語しているのを呆れて読んでいた(大物だから出版社も簡単に首をふったのか?と思うひどすぎる出来)などは、すぐに「あー、あれはひどい作品だった」と思いだせるが、少なくともこのタイトルについては、そんな記憶は呼び起こされないし、「これだよこれ!」とわくわくして書店で買った覚えがある。
今回の作品は、雪の山荘ではない。
それはすぐに知ることになるのだが、30年前に読んだ作品がどうだったかはわからなかった。
原作は古いが 2024 年の新作ということもあり、スマホが出てきたり、副流煙だめ?とか今ならではな会話も多いが、レビューで読んだようなひどさは感じなかった。
見て良かったと思った後に、星5つ中3つで1つの評価も目立つレビューを見ると、どっかのライバルがおとしめるために、金はらって悪いレビューかかせてるのかなとおもったくらいだ。
とにかく、この作品は、最後まで面白い。
終わった後も、もう一回みればさらに何かがわかるかもという気持ちにいざなう。
この映画は、本格推理を読んだことがあり、それを楽しめた人には絶対おすすめしたい。
!!!ここからはネタバレがあるかもしれない!!!
劇団のオーディションという形で集められた7人の役者。
彼らは4日間を、ある山荘で過ごす。
最初から、ここでの4日間に起きた事件の謎を解いたものを主役にするという変わった話だが、役者として売れるために懸命な若者たちは、それにのる。
そして、起きる殺人劇。
しかし、それは昨中劇のようなもので、本物ではなく、偽物だと最初に植え付けられたオーディションの舞台として話は展開していく。
レビューには、こんなちょっとした館でそんなポンポン殺人がおきるわけないとかいうやつがいるが、犯人はそれを起こす気だし、それを欺くために、事件に翻弄される舞台によるオーディションという霧をただよわせているのだ。
そんなこともわからずに星1~3をつけるものがいることで、この作品が埋もれてしまうのがとても悲しいし、そんなレビューは私にとっては犯罪に等しい悲しく許されないことだ。
レビュワーの程度の低さは今に始まったことではないが、この作品についてはギャップがひどく、ついことあるごとに愚痴てしまう。さらなる魅力を語ることに戻ろう。
若い役者たちも、2日、3日とすぎ、すこしずつ人が消える自体に、不安を感じ、それぞれに対策を講ずるようになる。
今、思えば、この対策の講じ方で、この事件の根幹への関係の深さも表されている。
そもそもオーディションなのか?誰かが騙った殺人の舞台におびきよせられたのではないか?これは開始数分で誰しも視聴者は抱く疑問だろう。
これについても、自然な形で、しかし、ドラマティックに謎が明かされる。
それまでの伏線のような気分の良くない役者ならではの裏での駆け引きを魅せられて、私もそこはもうすこし不快な感情をコミカルに変えて、推理のヒントにしてくれればと思うが、それでも、ちゃんと「ある視点から」の動機を説明するために、こういう演技が必要だったのだというのも良かった。
この作品は、明確な探偵がラストの前まで存在しない。
セリフの数や、行動パターンで、ある程度わかるのだが、明確な探偵はいない。
そして、最後の謎解きのシーンで、その探偵が謎を明かしていく。
苦言を呈するとすれば、犯人(これも複数の意味があるのだが、同じベクトル)を明かすための証拠が、VTR(ビデオ録画)であったりして、論理的な証拠や、「実は初めからあなたを疑っていた(これは必須ではないが)」などのシンプルな推理による追い詰め方ではなかったことが残念だ。
しかし、そのあとの犯人の話は、役者ならではの、作中劇の中の作中劇のような翻弄される謎解きで、面白い。
そして、さらに、ひとつ先の方に視聴者はいきなり放り投げられることになり、さらに翻弄される。
彼女は本当にそうなのか?、最後、それの結果をみて、作中劇が何重にもかさなっていることに少し曖昧な夢見心地な感じで、地面にまた立たされる。
そして、観客席で拍手を送るひとりの観客として、もう一度見てみたいという気持ちになる。
アマプラの詳細ボタンのあと、映像を評価するボタンで評価。当然5つ星。
!!!ここからは完全な個人的な愚痴!!!
犯人の動機はわかるが、社会から補助すらされず、かといって社会的には迫害される人もいるのだ。現代医学が作った歪は、医者が偉い世界では、患者が悪いということになるのだ。そして、支援もなく、人からは理不尽にさげすまれる者たちも大勢いる。補助金で暮らせるのなら、周囲が障碍者と認めて責めてこないのなら、それだけでも良いと思えるのではないのか?そういう人も大勢いるとおもい、憤りを感じた。
火曜サスペンスが消え、そのあとも頑張っていた土曜ワイドもきえた。
良いミステリーはやはり、良い作家がいないと始まらない。
もちろん、それを表現する者たちは大事だけど、もっと作家が育ち、アニメ大国に続く、ミステリー大国を作ってほしい。
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