前回、妻に去られた画家の話に感動したと書いた。
今回も似た美術品のパトロンとそれに支援されて育った売れっ子や売れなくなった芸術家たちの話だったのだが、端的にいって、推理する楽しみも驚きもないが、最後の主要人物たちのやりとりは、とても感情があふれているように感じた。
これは、以前に今の相棒は「はぐれ刑事 純情派」になろうとしているのかもしれないがそんな真似はできないといったが、それとはまた違う、激しい感情の話になっている。
前回の画家の話と読後感が似ている。
私の予想では、過去の愚作を清算するためと思っていたが、それはちがった。しかし、新しい答えをきいても、何か釈然としない。腑に落ちない。
でも、最後の、パトロンと芸術家のやりとりは、特にパトロンの方の感情は歪んでいるけれども何か本物な感じがした。
これで、最初にでてきたちょい役の家政婦が何か関係していればと思ったが、名推理を行う相棒ではなくなったので、仕方ない。
だけど、本当に、最後の5分間のドラマ、感情をきくために見ていたと思える作品だった。
人は無意識に身に着けた教養や気遣いの陰で、わがままな怪物を育てるものではないのだろうか?
それが最後、理不尽?なことになるパトロンの中で混ざり合った衝動的な、それでいて道徳心を持ち合わせたわがままを吐き出すところがなんともいえなかった。
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