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相棒 season 22 #1-2 大きな構造と薄い煙幕

 相棒がついにシーズン22だ。

初期のシーズンは、もう電子の海の藻屑となった別ブログで毎週絶賛していた。
しかし、今は、絶賛する機会はわずかになった。亀山君が戻ってからの通常回の数話は素晴らしいともろ手をあげて連投ツイートもしたけれど、長くはもたなかったし、それより前は早く有終の美を飾るべきだと訴える回が9割以上だった。

相棒のスペシャル回はいつもはずれという経験則からバイアスがかかっていると思うが、今回も2時間サスペンスと同じレベルの出来だった。
昔の年末などに気合を入れた2時間サスペンスに比べたら、10~25%程度のクオリティだ。

スペシャル=ハズレ回なのは、いろんな俳優を出さなければいけない無駄なコスト、それに関連付けるためのストーリーの不自然さ、そして、大規模にするため組織など大きな話にしがちで、相棒の最初の持ち味である孤立無援なところから頭脳とガッツでひっくり返す楽しさが前提としてないからだ。

タイトルで書いた薄い煙幕は、大きな構造に対する感動の薄さだ。
警察の組織構造、そして最近物議をかもしている宗教への危惧、その間で揺れ動く捜査員や被害者関係者たち。
そのような大きな舞台と駒を設けて置いて、この程度の薄っぺらい正義漢と復讐劇に収まるのは費用対効果が薄いとしかいいようがない。

ここからは少し具体的になる。
というか、もうあまりに薄すぎて述べたい点がないので、そのしっくりこなかったしこりだけをかく。

なぜ、あの隠されたビンに指紋がないのか。そこで少し推理を互いにいっていたが、なぜぬれぎぬという線がうかばないのか。もしも化学的にグローブを使うなどといっても、亀山君などの化学に詳しくなさそうな人ならば、なんで自分の使っていた瓶に指紋がないんですかね?くらいいいそうなものだ。(そして、右京さんに「たまに君はいいことをいいますね」とほめられる)

また、最後にこのドラマ的に最後の犯人を落とす際の言葉も、ドラマ的に印象が薄すぎた。
たしかに、大変なことをやったあと、しかも真相がばれてしまったのだから落ちやすいのかもしれないが、その言葉はもう少し印象深く育てるべきだったのではないかと思う。

薬物を用いた10数年前の事件についても、もっと絡んでくるのかと思っていたが、ただ危険な団体と印象付けるだけにとどまっているのも、薄い煙幕といったゆえんだ。
もっと、特定のものに多くの視聴者をミスリードして、最後にやられたと思わせるのかと思ったが、曖昧模糊としすぎている。

だいたい、大量の拳銃や、ちょっとの振動で発動するような危険物をどのようにして運んだのか、それも気になる。
教団幹部は知らなかった様子だから、少しずつ運んだのかもしれないけれど、食料を置くようなみんなが出入りする場所に少しずつ運び蓄えることができるものだろうか。
右京さんに接触するための行動にしてもわずか数週間でできるものだろうか。

あとは、スペシャルおきまりのいつもの政治構造の話でそれっぽくしているが、こんなのは茶番だ。ミステリーの要素としては不要といっていい。

角田課長が、自分たちが探した手柄をつかって、別の組織が大きな捕り物をするときに怒らなかったのは残念だった。実情は知らないけど、組織としてもりあがるとしたら私としては、最後にぎゃふんといわせて、もうひと手柄上げるなど、そこらへんを期待していた。

捜査一課トリオは、歩道橋のシーンがアクションというか連携として面白かった。

鑑識は相変わらずぱっとしない。もう何事もなかったかのように米沢さんか、それのジュニアみたいな感じでキャラクターを戻したり、今の鑑識のキャラ付けをもっと強くした方が良いと思う。

余談だが、青木さんは、もう少ししたら他のドラマかもしれないけど、悪役や悪びれた味方やヒーロー役としてすごく活躍するんじゃないかと車内での表情を見て思った。
できたら、サイバー担当の刑事さんとの青木さんが連携するスピンオフをみてみたい。一般受けしなくていいからがちがちのITバトルみたいな、最後は協力しあうようなのをみてみたい。

相棒は、もともと右京さんが今回もいったとおり人材の墓場。
だれも触れたくないような場所の変わり種、ある意味ギークたちが謎を解くところに痛快さのひとつがあった。
しかし今では、ギャラを沢山とってそうな特別出演枠をはじめとして、無駄なキャストが多い。

そんな予算を使うならば、前に切り捨てた作家たちを戻すなり、より良い作家を雇うなりするべきだ。

美和子スペシャルは料理学校で進化をとげてカモフラージュするようになったので、いつか事件解決の際に武器として使えないかと少し妄想した。

今の特命係はコネクション的に肥大し過ぎた。
もうここは、右京さん自身が何か大失敗を起こして、特命係を初期+(ときどき竜二さんが助ける)あたりまで、より小さな規模にして、他とは敵対しつつ、わずかな証拠から事件・ミステリーを鮮やかにとく展開に戻してほしいと思った読後感だった。
(思い返せば過去の回想で係の看板を割ったときがそれに重なる。あのときの制作陣が戻る可能性はあるのだろうか)

亀山君と右京さんはやはり相性が良いとは思う。でも推理劇としては初期の鮮やかさを見る影はない。

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